難病患者同士が、病名にとらわれず交流する「難病カフェ」と呼ばれる取り組みが全国に広がっている。常設の店ではなく、患者自らが定期的に交流会を開催。就職や結婚など若い世代が直面する共通の話題も多く、気軽な会話で悩みを共有できると好評だ。
「面接官に難病なのに人を助けられるのかと言われた。病気が理解されていない」
手足にしびれやまひの症状が現れる「多発性硬化症」を患う50代の女性が福祉施設の就職面接での体験を打ち明けると、集まった約20人が真剣に耳を傾けた。5月下旬に茨城県稲敷市で開かれた難病カフェ「アミーゴ」の一場面だ。
アミーゴは、多発性硬化症の桑野あゆみさん(45)=同県美浦村=と、消化管の炎症で腹痛や血便が起きる「クローン病」患者の吉川祐一さん(53)=水戸市=が昨年5月に立ち上げた。茨城県内各地で月1回ほど交流会を開催している。
設立のきっかけは、既存の患者団体で役員を務める2人が、若い人の参加が少ないと感じたことだった。レクリエーションを企画しても、時間が合わないのか壁を感じているのか、訪れるのは高齢者ばかり。「若い世代が気軽に参加できる場をつくりたい」と考えた。
桑野さんは「病名が違っても、病気を抱えて生活している境遇は同じ。就職など共通の悩みは多い」と話す。
難病カフェの取り組みは、その呼び名や形式の気軽さも相まって、ここ数年、関東や九州などでも広がっている。
山口県下関市では今年4月、太ももの骨が壊死(えし)する「特発性大腿骨頭壊死症」の渡辺利絵さん(53)が「ふくふくカフェ」と名付けた取り組みを始めた。月1回の会合の参加者は若い人から高齢者まで10人ほど。深刻な話も多いが、みんな笑顔で話しているという。
「周りに理解されないと、普段は打ち明けられずに我慢している人たちが『私も一緒』とうなずく。居場所があることが必要なんです」と渡辺さんは意義を強調した。〔共同〕