遺族に寄り添う「グリーフケア」 介護職員75%「知らない」
在宅介護が広がり、自宅で家族をみとるケースが増える中、遺族に寄り添って悲しみや喪失感をサポートする「グリーフケア」について、介護職員を対象に調べたところ、遺族へのグリーフケアが必要だと感じている職員が81.7%に上った一方、ケアの内容を「知っている」と答えたのは24.3%にとどまった。
75.7%は「聞いたことがない」「聞いたことはあるが内容を知らない」と回答。介護現場で認知度が低い現状が浮かび上がった。
調査した一般社団法人「セルフケア・ネットワーク」(東京)の高本真左子代表理事は「医療スタッフと違って、介護職員がグリーフケアを体系的に学ぶ機会は少ない」とした上で、在宅みとりに関わる職員の研修強化の必要性を訴えている。
昨年7~9月、介護職員584人を調査した。
グリーフケアを独学や研修で学んだことがある介護職員は15.8%とわずか。実際に経験があるのは「傾聴(話を聴く)」「葬儀参列」「家庭訪問」など。グリーフケアを行うことに対して「遺族の助けになれるのか」(54.4%)、「何をすればよいか分からない」(53.5%)と、必要と感じながらも実践に戸惑う様子がうかがわれた。
調査に協力した関西学院大の坂口幸弘教授(悲嘆学)は「生活の場でのみとりが増え、グリーフケアで介護職員の果たす役割は今後大きくなる」と指摘。高本代表理事は「介護保険外のサービスとして、遺族にグリーフケアを提供できないか」と提案している。〔共同〕