JASRAC、請求取り下げ 著作権契約巡る審判
テレビなどで使われる楽曲の著作権料徴収をめぐる日本音楽著作権協会(JASRAC)の契約方法を巡り、独占禁止法違反(私的独占)に当たるか再審理していた公正取引委員会は14日、契約の見直しや再発防止を求めた排除措置命令が確定したと発表した。「独禁法違反には当たらない」としていたJASRACが審判請求を取り下げた。
取り下げは9日付。JASRACや放送事業者は新たな徴収制度の導入で合意しており、JASRACは取り下げた理由について「命令が問題とした状況は既に事実上解消されつつある」とするコメントを出した。
JASRACは音楽会社や作詞・作曲家などの著作権者から著作権管理を委託され、利用者から著作権料を徴収している。問題になったのはテレビ局やラジオ局など放送事業者が年間の放送事業収入の1.5%を支払えば、何曲でも自由に使える「包括契約」だ。
公取委は2009年、他の事業者が管理する楽曲を使うと新たな費用負担が生じるため、新規参入を阻んでいると認定。排除措置命令を出した。
JASRACは不服を申し立て、公取委は12年に命令を取り消す審決を出した。これに対し新規参入組の著作権管理会社「イーライセンス」が審決取り消しを求めて提訴。最高裁は昨年4月、「他業種の参入を妨げている」と指摘し、公取委に再審理を求めていた。
訴訟や公取委の審理とは別に、JASRACやイーライセンス、放送事業者などは昨年、曲の利用実績に応じた徴収制度の導入で合意。放送事業収入の1.5%の金額を、利用量に応じて著作権会社に配分する仕組みで、15年度分から適用される。
イーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスが統合した著作権会社、NexTone(ネクストーン、東京・渋谷)の荒川祐二代表は「JASRACの判断を歓迎している。これを機に楽曲を安心して使っていただける環境にしたい」としている。