内部告発で報復解雇は無効 大王製紙巡る訴訟で東京地裁判決
内部告発の報復として降格や解雇の処分を受けたとして、大王製紙の元課長の男性(52)が同社を相手取り、処分の無効確認などを求めた訴訟の判決で、東京地裁(鷹野旭裁判官)は14日、「解雇は無効」と判断し、勤務していれば受け取ったはずの給与の支払いを命じた。告発内容は「真実と認められず、手法や目的も不適当」とし、降格処分は有効とした。
判決によると、男性は2012年、経営陣と対立していた当時の顧問に不適切会計に関する内部告発状を手渡すなどした。男性は就業規則違反で降格されたうえ子会社への出向を命じられたが、従わなかったところ、13年3月に懲戒解雇された。
鷹野裁判官は判決理由で、告発内容について「裏付ける客観的資料が乏しく、目的も経営陣を失脚に追い込むためで正当性を欠く」と指摘。「就業規則違反による降格処分は不当とは言えない」とした。
ただ、子会社への出向命令は「業務内容から合理的とはいえず不相応。懲戒の趣旨と評価でき、出向命令権の乱用に当たる」と判断。拒否を理由とする解雇は無効とした。