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成年後見の不正、見張り人急増 家裁の選任が最多4800件

認知症で判断力が低下した高齢者の財産などを管理する成年後見人の不正を監視する「後見監督人」の選任件数が急増している。全国の家裁が2015年に選任したのは過去最多の約4800件。後見人となる親族らが財産を着服するなどの不正が横行し、家裁が職権で選ぶケースが増えているためだ。専門家は「監督人だけに頼らず、地域全体での後見人のサポートが必要」と話す。

「通常は年に3、4回、就任当初は月1回、通帳などをチェックする。監督人がつくことで後見人の不正を予防できる」。司法書士で成年後見監督人を務める「成年後見センター・リーガルサポート東京支部」の福島秀郎専務副支部長は強調する。

後見人に財産目録、収支状況、出納記録の書き方を指導するほか、不動産売却などの財産管理の相談にも応じる。「監督というより相談役として頼ってもらっている」と話す。

最高裁の統計によると、後見人の業務をチェックし不正を未然に防ぐ監督人が15年に選任されたのは過去最多の4882件。05年は282件にすぎず右肩上がりで増え続けている。

かつては本人や後見人からの求めに応じて選ぶことが多かったが、最近は後見される人の財産が多額だったり、財産を巡って親族間で争いがあったりする場合などに家裁が職権で選任するケースが大半を占める。

背景にあるのは、後見人による財産の着服などの不正の横行だ。最高裁によると、15年に報告された後見制度を巡る不正は521件で被害総額は約30億円。大半が親族後見人によるものだが、弁護士、司法書士など専門職後見人による不正も頻発する。

都内の元弁護士は、後見人として管理していた高齢女性の預金口座から約1300万円を引き出して着服したとして業務上横領罪で起訴された。15年の不正のうち37件(被害総額約1億1千万円)が専門職によるものだった。

一方、後見人側が監督人への報酬費用の負担に不満を抱いたり、「不正を疑われている」として監督人とトラブルになったりしたケースも少なくないという。

日本成年後見法学会理事長の新井誠・中央大教授(民法)は「高齢化に伴い後見される人の増加がより見込まれ、不正防止のために監督人を選ぶのは人材的にも限界があり、根本的解決にはならない」と指摘する。

昨年5月、成年後見制度の一層の活用を目指した成年後見制度利用促進法が施行。内閣府を司令塔に基本計画を策定し、3年以内をめどに具体策を講じることが定められた。新井教授は「監督人だけに頼らない地域のネットワークで後見人を支援する仕組みづくりが求められており、法的なアドバイスをするなど、同法を生かし地域全体で不正を防止するよう見守ることが重要だ」としている。

 ▼成年後見制度 認知症や知的障害などで判断能力が十分にない場合に親族や弁護士、司法書士らが後見人として本人に代わって財産管理や契約などを行う制度。後見人は家裁が本人や家族などの申し立てを受けて選任される。財産を適切に管理しているか、定期的に家裁に報告する義務を負う。2015年の申し立ては約3万4千件で、親族が選ばれたのが約30%、弁護士など第三者は約70%だった。

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