2019年6月25日(火)

歌会始の歌

2015/1/14付
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天皇、皇后両陛下、皇族方、召人、選者、入選者の歌は次の通り。

天皇陛下

夕やみのせまる田に入り稔りたる稲の根本に鎌をあてがふ

皇后さま

来(こ)し方(かた)に本とふ文(ふみ)の林ありてその下陰に幾度(いくど)いこひし

皇太子さま

山あひの紅葉深まる学び舎に本読み聞かす声はさやけし

皇太子妃雅子さま

恩師より贈られし本ひもとけば若き学びの日々のなつかし

秋篠宮さま

年久(としひさ)しく風月(ふげつ)の移ろひ見続けし一本の巨樹に思ひ巡らす

秋篠宮妃紀子さま

日系の若人かたりぬ日本へのあつき思ひと移民の暮らしを

秋篠宮家長女眞子さま

呼びかける声に気づかず一心に本を読みたる幼きわが日

秋篠宮家次女佳子さま

弟に本読み聞かせゐたる夜は旅する母を思ひてねむる

常陸宮妃華子さま

新しき本の頁(ページ)をめくりつついづく迄読まむと時は過ぎゆく

三笠宮家寛仁親王妃信子さま

松山に集ひし多くの若人の抱へる本は夢のあかしへ

三笠宮家彬子さま

数多ある考古学の本に囲まれて積み重なりし年月思ふ

高円宮妃久子さま

来客の知らせ来たりてゆつくりと読みさしの本に栞(しをり)入れたり

高円宮家長女承子さま

霧立ちて紅葉の燃ゆる大池に鳥の音響く日本(にほん)の秋は

▽召人(敬称略)

春日真木子

緑陰に本を繰りつつわが呼吸(いき)と幸(さき)くあひあふ万の言の葉

▽選者(敬称略)

篠弘

送られし古本市のカタログに一冊を選(よ)るが慣ひとなりぬ

三枝昂之

音読の声が生まれる一限目明日(あす)へ遠くへ本がいざなふ

永田和宏

本棚の一段分にをさまりし一生(ひとよ)の量(かさ)をかなしみにけり

今野寿美

秋の気の音なく満ちて指先に起こしては繰る本こそが本

内藤明

開かれて卓上にある一冊の本を囲みて夕餉(ゆふげ)のごとし

▽入選者(敬称略)

奈良県 伊藤嘉啓

若き日に和本漁りぬ京の町目方で買ひし春の店先

新潟県 吉楽正雄

おさがりの本を持つ子はもたぬ子に見せて戦後の授業はじまる

愛知県 森明美

竹垣の露地に仕立てた数本の太藺(ふとゐ)ゆらして風わたりけり

長野県 木下瑜美子

大雪を片寄せ片寄せ一本の道を開けたり世と繋がりぬ

千葉県 平井敬子

「あったよねこの本うちに」流された家の子が言ふ移動図書館

埼玉県 森中香織

本棚に百科事典の揃ひし日に父の戦後は不意に終はりぬ

茨城県 五十嵐裕治

二人して荷解き終へた新居には同じ二冊が並ぶ本棚

神奈川県 古川文良

雉さんのあたりで遠のく母の声いつも渡れぬ鬼のすむ島

岡山県 中川真望子

暑い夏坂を下ればあの本のあの子みたいに君はゐるのか

神奈川県 小林理央

この本に全てがつまつてるわけぢやないだから私が続きを生きる

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