JR西の歴代3社長無罪確定へ 尼崎脱線、上告棄却

2017/6/13 13:23
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兵庫県尼崎市で2005年4月に乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長について、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は13日までに、検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定をした。12日付。一、二審の無罪が確定する。

JR西日本歴代3社長の(左から)井手正敬氏、南谷昌二郎氏、垣内剛氏

JR西日本歴代3社長の(左から)井手正敬氏、南谷昌二郎氏、垣内剛氏

検察が起訴した元社長を含め、同罪に問われた旧経営陣全員の無罪が確定し、JR史上最悪の鉄道事故の刑事裁判が終結する。

無罪が確定するのは、井手正敬元相談役(82)、南谷昌二郎元会長(75)、垣内剛元顧問(73)の歴代3社長。事故現場を急カーブにした1996年から事故発生まで順に社長を務めた。10年、検察審査会の起訴議決を受け、指定弁護士に強制起訴された。

指定弁護士は「急カーブ化によって脱線事故が起こる危険性を予見できたのに、自動列車停止装置(ATS)の整備の指示を怠った」と主張していた。

第2小法廷は決定理由で、事故以前はカーブにATSを設置する義務はなかった、社長が個別のカーブの情報に接する機会は乏しかった――ことなどを理由に「3社長が事故の危険性を認識できたとは認められない」と結論づけた。

電車が脱線転覆し、線路脇のマンションに激突したJR福知山線の事故現場(2005年4月25日、兵庫県尼崎市)

電車が脱線転覆し、線路脇のマンションに激突したJR福知山線の事故現場(2005年4月25日、兵庫県尼崎市)

指定弁護士は上告審で、社長が実刑となったホテルニュージャパン火災(1982年)の最高裁判例などに基づいて「ひとたび運転士が大幅な速度超過をすれば脱線事故が発生する」との認識さえあれば予見可能性が認められると主張。だが、同小法廷は「事案が異なり、その程度の認識で注意義務があった根拠とは言えない」と退けた。

小貫芳信裁判官は補足意見で「『事故もあり得る』という程度の認識で刑罰をもって対策を強制することは、過大な義務を課すもので相当でない」と述べた。

事故は05年4月25日に発生した。快速電車が制限速度を45キロ上回る時速約115キロで現場カーブに進入し、曲がりきれずに脱線。マンションに衝突して多数が死傷した。

13年9月の一審・神戸地裁判決、15年3月の二審・大阪高裁判決はいずれも3社長を無罪とし、指定弁護士が上告していた。

3社長とは別に、神戸地検は現場を急カーブにした当時の鉄道本部長で、安全対策の責任者だった山崎正夫元社長を起訴したが、すでに一審・神戸地裁で無罪が確定している。

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