福島ワインの夢に挑む 被災の「浜通り」に苗木植樹

2016/4/14 12:59
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東京電力福島第1原子力発電所事故で大きな被害が出た福島県の浜通り地方をワインの産地に――。そんな夢を掲げて、避難区域を抱える同県川内村などで醸造用ブドウの栽培が始まった。ワイン産地としての可能性を見いだした有志が「日本葡萄(ぶどう)酒革進協会」を設立し、住民とも連携。東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに初生産を目指す。

4月初旬の川内村。まだ肌寒い標高約700メートルの山あいの畑で、ボランティアや村職員ら約20人がワイン用ブドウ「シャルドネ」の苗木を植え付けていた。今年は約70アールの畑に、他品種も含め約2千本を植える予定。来年以降は畑をさらに拡大する計画だ。

畑は村有地で、苗木は協会が提供。栽培は地元住民が担当し、19年からの収穫を目指す。

協会は県北部の伊達市や原発事故で全町避難が続く富岡町でも、醸造用ブドウの栽培に興味を抱く農家と協力し、小規模ながら今年から栽培が始まった。

「ブドウを育てるのにとても適した土地。農業復興に向け、新たな事業に挑戦することが大事ではないかと感じた」。そう話すのは活動の発起人で協会の理事を務める北村秀哉さん(54)=いわき市=だ。

浜通り地方がある福島県の沿岸部は日照時間が長く、水はけなど土壌の質も良い。もともとブドウ栽培が盛んな土地ではなかったが、国内外のワイン産地を巡った経験を持つ北村さんは、一大産地に成長する可能性に気付いた。

ワイン酒造「中央葡萄酒」(山梨県甲州市)や山梨大、福島大も支援。当面は手探りでの栽培となるため、技術面や人材育成などで連携していく方針だ。協会の理事、高木亨さん(56)=東京都=は「大切なのは高品質なものを作り、地元が主体の持続的な事業にすることだ」と力を込める。

川内村によると、ブドウ栽培が軌道に乗れば、将来的にワイナリーやレストランを造り、観光地に発展させる構想もあるという。高木さんは「新しいワイン産地をつくるため、村の方と一緒に夢を描いていきたい」と話している。〔共同〕

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