薬剤耐性の肺がん、新薬候補物質を発見 がん研究会など
公益財団法人「がん研究会」や京都大学などの研究チームは、薬が効かなくなった薬剤耐性の肺がんに有効な新薬の候補物質を見つけた。この肺がんは日本人に多いタイプで、遺伝子が変異して薬剤耐性を持ちやすい。最新の薬でも効き目がなくなる患者がいるとの報告があり、新薬の開発が求められている。チームは米国などで臨床試験を検討している。
13日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(電子版)に掲載された。
進行性非小細胞肺がん患者の3~4割では、がん細胞の表面にあるEGFRと呼ぶたんぱく質の遺伝子が変異している。ゲフィチニブ(商品名イレッサ)などの治療薬があるが、EGFR遺伝子に2つ目の変異が生じて1年程度で効き目が落ちる。
こうした薬剤耐性の肺がんに効くとしてオシメルチニブという薬が昨年承認されたが、再び患者の約2割で耐性が出ることがわかったという。遺伝子に3つ目の変異が起きるためだ。
研究チームはスーパーコンピューター「京」の解析や動物実験を通じ、別の遺伝子が変異して起きる肺がんを対象に開発中の薬が効く可能性を突き止めた。米国のマサチューセッツ総合病院がんセンターなどでの臨床試験を考えている。