長寿遺伝子で認知症予防、循環器センターなど 新治療法開発へ
長寿遺伝子とされる「サーチュイン」の働きを強めると、脳梗塞による認知症を防げることを国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)や名古屋大、京都大のチームがマウスを使った研究で明らかにし、12日付の米医学誌電子版に発表した。
センターの猪原匡史脳神経内科医長によると、脳梗塞が原因の認知症は糖尿病の増加や食生活の欧米化で増える傾向にあり、新たな治療法の開発につなげる。
チームは、特有の酵素を作り出す長寿遺伝子サーチュインに注目。マウスの首の動脈を狭める処置をして実験した。
脳内のサーチュイン酵素の量が増えるように遺伝子操作したマウスは脳の血流が90%以上維持されたが、遺伝子操作しなかったマウスは一時約70%まで血流が減った。酵素は別の物質に作用して、血管を広げていることを突き止めた。
迷路を抜け出すテストをすると、脳血流が減ったマウスは間違いが多く認知機能が低下していたが、サーチュイン酵素の量を増やしたマウスは認知機能が正常に保たれていた。
センターは来年にも、サーチュイン酵素の働きを強めるとされるポリフェノール「レスベラトロール」を頸(けい)動脈が狭くなった患者30人に1年間投与し、効果を調べる臨床研究を実施する。〔共同〕