受動喫煙防止で規制強化案 厚労省、業界団体聴取へ
厚生労働省は12日、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙防止の規制強化案を明らかにした。最近の五輪の開催地は罰則を伴う受動喫煙防止対策を取っていることから、スタジアムなどは建物内の禁煙、飲食店などは喫煙室以外の禁煙を義務化。事務所や医療機関、学校なども併せ、罰則付きで禁煙を義務付ける。
厚労省などは今後、飲食やホテルの業界団体などから意見を聴いて規制内容を詰める。早ければ来年の通常国会に、健康増進法や労働安全衛生法の改正案か新法案を提出する方針。
現行の健康増進法などは多くの人が集まる施設の管理者や事業者に受動喫煙対策を取るよう定めているが、努力義務にとどまっている。
今回の規制案では、施設の種類によって義務付ける禁煙区域を変える。医療機関や小学・中学・高校には最も厳しい「敷地内の禁煙」を適用。スタジアムなどの運動施設や官公庁、社会福祉施設には建物内の禁煙を義務付ける。飲食店やホテル、事務所、駅、空港などは原則として建物内禁煙とし、喫煙室の設置は認める。
罰則は、喫煙禁止場所で注意したにもかかわらずたばこを吸い続けた個人に適用するほか、禁止場所に灰皿を置くなどした施設管理者が改善命令に従わない場合に科す。罰則の内容は今後、検討する。
五輪と受動喫煙対策を巡っては、世界保健機関(WHO)と国際オリンピック委員会(IOC)が2010年7月に「たばこのない五輪」の推進で合意している。