公道での無人運転実験許可へ 警察庁基準案
遠隔監視システムで制御された自動運転車を公道上で走らせる実証実験を可能にするため、警察庁は13日、道路使用許可を得るのに必要な基準案を示した。運転席が無人の車両が、一般車に交じって走行することを認めるのは初めて。企業や研究機関は実際の交通環境のなかで、具体的な想定に基づいた実験ができるようになる。

基準案はパブリックコメントを経て5月中に正式決定される。早ければ今夏にも申請の受け付けが始まる。

無人運転の開発では米グーグルや欧米自動車メーカーが先行していたが、日本企業の動きも活発になっている。公道実験がスタートすれば日本勢の技術開発やノウハウの蓄積に追い風となる。公道実験が早期の実用化につながれば、ドライバー不足の解消や過疎地域での移動手段確保などにつながる可能性がある。
審査の基準案によると、(1)テストコースでの走行試験を経ている(2)通信システムを確保する(3)遠隔監視モニターで運転席にいるのと同等の状況把握ができること――などが道路使用許可の条件。実施地域の住民から同意を得ることも要求している。
申請した地域内で天候、時間帯など自由に条件を設定して実験できる。離れた場所から複数の車を一括して制御できる技術の開発も視野に入れ、1台ずつ車を増やしながら、数台を同時に走らせる実験も認める。
事故が起きた場合、遠隔監視・操作者が法的な運転者としての責任を負う。許可の申請先は実験を行う地域を所管する警察署。警察官が実験車両に乗車し、交通法規を順守できるかどうか、最終的な審査をする。
許可の期間は最大6カ月とし、システムの不具合の可能性がある場合は実験を中止し、再発防止策を講じたうえで、再申請する必要がある。
自動運転車の公道での実証実験は米国が先行する。カリフォルニア州では3月末時点で29社が実験の許可を受けている。米グーグルや日米欧の自動車大手などの自動運転車が運転席に人を乗せた状態で高速道路や市街地を走り、データの収集を進めている。州当局は3月、運転者の搭乗義務を撤廃する新たな要件案を発表。年内にも「無人運転車」の公道試験が可能になる見通しだ。