受刑者が育てた「網走監獄和牛」 最高ランク獲得も

2015/5/12付
保存
共有
印刷
その他

網走刑務所(北海道網走市)の受刑者が生産した黒毛和牛の肉が2月から「網走監獄和牛」の名前で発売され話題を集めている。受刑者は全員が畜産の素人だが、飼育を通じて「命の切なさを学んでいる」といい、日本食肉格付協会(東京都)の定める等級で最高ランク「A5」を獲得する牛も出ている。

網走刑務所には懲役10年未満の受刑者が入所し、現在約1100人が木工や窯業などの刑務作業をしている。塀のない農場では生活態度が良く、仮釈放の見込みがある人たちが作業。畜産は全国の刑務所のうち網走でだけ行われている。

牛を飼育するのは、刑務所の牧畜班8人。刑務所から約7キロ離れた塀のない「二見ケ岡農場」の宿泊施設に住み、専門官の指導を受けながら牛約100頭を世話している。午前7時40分から午後4時20分まで、餌やりや牛舎の掃除、施設の修理などをこなす。

農場で繁殖し、生後約30カ月、体重750~800キロを目安に出荷される。飼育を始めて約1年の30代の男性受刑者は「誕生から出荷まで付き添い、命の尊さや切なさを学んでいる」と話す。

刑務所によると、4月16日に出荷した5頭の等級は、3頭が「A5」、2頭が「A4」だった。肉牛の飼育は1997年ごろに開始。4年前から牧草を多く与えるようになり、自由に水が飲めるように施設を改修するなどした結果、肉質が向上したという。

生産した肉は「北海道産和牛」として流通しているが、給食会社「エームサービス」(東京都)が一部を購入し「網走監獄和牛」と名付けて今年2月、刑務所の隣の売店で発売。ステーキ用や焼き肉用などがあり、100グラム350~1000円で、売店によると、人気の部位はすぐに売り切れる。

刑務所は「命に寄り添うことで、思いやりの気持ちが育まれれば」と更生への期待を込める。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]