2018年10月20日(土)

爆買い狙う悪質ガイド横行 店の売り上げ一部懐に

2016/5/17 11:50
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3月下旬、東京・秋葉原の雑居ビルの前に何台もの観光バスが横付けされた。降り立った中国人観光客が、次々とビルの中にある免税店に吸い込まれていく。

「日本製は安心」「ここでしか買えないよ」。電化製品から食料品までずらりと並ぶ店内では、一万円札を手にした客が競い合うように商品を購入していた。

かつて無資格でガイドをしていた台湾出身の男性

かつて無資格でガイドをしていた台湾出身の男性

雲南省から来た女性(54)はこの日、この店やバスの車内販売で10万円以上使った。「万病に効く『納豆菌』錠剤」「永久に使えるボール型洗剤」……。ガイドに勧められるまま、値段や効能は確認していないという。

団体客を引率してきたのは中国籍の男性(34)だ。現在、有償でガイドをするには日本の国家資格「通訳案内士」が必要だが、「資格なんて持ってる人はいないよ」と言い切る。

流行語にもなった「爆買い」。中国人観光客の大量の商品購入を支えるのが、こうしたガイドたちだ。収入源はキックバック。中国系の旅行会社に1回数千~数万円を支払い、団体客をあっせんしてもらう。事前に話を付けた店に客を連れて行き、売り上げの一部を受け取る。

数年前まで無資格ガイドだった台湾出身の60代男性は「健康食品は25~30%、化粧品は10%、電化製品は5~10%。キックバックの割合は何十年も前から決まっている」と明かした。

ガイドの間では、高額商品を買わせるのを『優しく殺す』と呼ぶ。「ウソの効能を書いた薬の説明書をつくったり、何時間も免税店に閉じ込めたり……。何でもやっていた」

無資格ガイドやキックバックの要求は通訳案内士法で禁じられている。しかし「摘発した例はない」(観光庁)。国は資格についての規制は緩和する方向だが、悪質行為をどう取り締まるかが課題として残る。

昨年、観光庁には「不当な高額で買わされた」「商品の効果が分からない」などの苦情が約50件寄せられた。被害を放置すれば日本のイメージダウンにつながり、観光客誘致に冷や水を浴びせかねない。

島川崇・東洋大教授(観光マーケティング)は、外国人への違法行為を専門に取り締まる「観光警察」の設立を提言する。タイや韓国、ギリシャなどで導入されている。外国人観光客相手のぼったくりや不法行為を専門に取り締まる。

韓国では、ソウル、仁川、釜山の3市で計約150人が取り締まりにあたる。韓国観光公社によると、2014~15年に無資格ガイドの雇用主や違法タクシー、無登録宿泊所など計約8700件を摘発した。

韓国観光公社の担当者は「外国語も堪能な人材で構成しており、旅行客が気軽に相談できるように心がけている」と話している。

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