サッカーでボスニア融和を 元日本代表・宮本さん、現地に教室
【モスタル=共同】ボスニア・ヘルツェゴビナの民族紛争(1992~95年)の激戦地、南部モスタルで民族融和を進めるため、元サッカー日本代表主将の宮本恒靖さん(39)が計画した子供サッカー・アカデミーが開校した。
アカデミーの名称は「マリ・モスト(小さな橋)」。日本の支援で整備された拠点のサッカー場をモスタル市に引き渡す式典が9日に開かれ、子供たちは早速、サッカーを楽しんだ。岸信夫外務副大臣はあいさつで「友情をはぐくみ、民族間、さらには日本との懸け橋になってほしい」と述べた。
式典にはボスニア出身のオシム元日本代表監督(75)も出席。ガンバ大阪ユースの監督を務める宮本さんは参加できず、「子供たちが国の輝ける未来の鍵になると信じる」とのビデオメッセージを寄せた。
アカデミーには既にイスラム教徒やクロアチア系、セルビア系住民ら約60人が登録。イスラム教徒で女の子のアイラ・フォチッチさん(13)は「(クロアチア系などの)友達がたくさんできた。男子とも一緒にプレーでき、楽しい」と目を輝かせた。
サッカー場は、日本が整備資金約22万6500ユーロ(約2600万円)を無償供与した。
ボスニアは旧ユーゴスラビア解体に伴い、イスラム教徒とクロアチア系、セルビア系による内戦に陥り、約20万人が死亡したとされる。モスタルでは市中心部の川を挟んでイスラム教徒とクロアチア系住民が激戦を展開、現在も居住区が分断されている。