2018年11月14日(水)

揺れる被災地の臨時災害FM 資金・人手、恒久化へ壁高く

2014/8/12付
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東日本大震災を受けて開局し、現在も放送を続ける被災地の臨時災害FM10局が揺れている。「復興は道半ばで、地域の情報は今後も必要だ」と、当初は多くの局が恒久的なコミュニティーFMへの移行を目指したが、多額の運営費というハードルを前に足踏みが続く。臨時放送をいつまで続けられるかも分からず、先行きが見通せない。

総務省などによると、震災後に開局した臨時災害FMは、既存のコミュニティーFMを活用したケースを除くと岩手、宮城、福島、茨城4県の18局。うち4局は既に終了し、4局だけがコミュニティーFMに移行した。

福島県南相馬市の「南相馬ひばりFM」は移行を希望していたが、チーフディレクターの今野聡さん(44)は「必要な経費を知って現実的でないと気付いた。放送の長期化でスタッフの疲れも目立ち、人手も課題だ」と話す。

臨時災害FMは免許を受ける自治体からの委託料や、非営利団体の支援金などで運営。番組で使う音楽の著作権料も例外的に無償となる場合が多い。コミュニティーFMになると、少なくとも年間に約2500万円という運営費を広告など自力で賄う必要がある。

10局中、コミュニティーFMへの移行を具体的に進めるのは宮城県名取市の「なとり災害FM」のみ。防災のため地域放送を重要視する市は移行後、情報発信の委託料として初年度に2500万円、次年度に2千万円を支出する計画だが、経営の安定度を見極めたい総務省との協議が続く。同県山元町の「りんごラジオ」は2016年3月での終了を決めた。

臨時災害FMを続けるにしても、いつまで免許を更新できるかが問題だ。免許期間は当初、約1カ月~2年だったが、震災が未曽有の災害をもたらしたことを踏まえ、総務省は現在、要望に応じて毎年3月に1年単位で更新するとしている。担当者は「震災の被害は制度としても想定していなかった。臨時的な役割をいつ終えるかという定義が難しい」と話す。

震災直後は避難者の氏名や支援物資の支給情報などを放送して被災者を支えたが、3年5カ月が過ぎ、既存のラジオ局との違いをどう打ち出すか各局とも苦慮している。リスナーの数も把握しにくく、地域への貢献度を測れないとの声もある。

約8年間の準備を経て7月に青森県五所川原市でコミュニティーFMを設立した成沢泰成さん(40)は「震災でラジオの重要性が注目されたのはよかったが、防災目的ばかり先行すると、地域放送として収入を蓄えながら内容を充実させるのは難しい」と話している。〔共同〕

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