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梶田・大村氏「チームの代表」強調 ノーベル賞授賞式

【ストックホルム=西山彰彦】日本の科学者2人の偉業に、惜しみない拍手が送られた。10日、ノーベル賞を受賞した東京大宇宙線研究所長の梶田隆章さん(56)と、北里大特別栄誉教授の大村智さん(80)はともに「チームの代表として受賞できた」と強調。日本にいる恩師や亡き同僚、妻への感謝の思いを胸に、科学界最高の栄誉の舞台に立った。

ストックホルムのコンサートホールで始まった授賞式は荘厳な雰囲気の中で進んだ。黒のえんび服に身を包んだ梶田さんと大村さんはともに緊張の面持ち。2人はノーベル賞の頭文字「N」が描かれた舞台中央に順に歩み出て国王からメダルを贈られると、国王や会場に笑顔で頭を下げた。

会場で見守る家族や参列した招待客からは、ファンファーレとともに万雷の拍手が起きた。

2人の発見は、多くの人々に支えられた。中でもかけがえのない人物がいる。

「ストックホルムへの道を目指せ」。大村さんの脳裏に、山之内製薬(現アステラス製薬)副社長などを務めた故野口照久さんの言葉がよみがえった。5日、乗った飛行機が当地の空港に着陸したときのことだ。「人々や社会のために役に立つ仕事をする」ことをモットーに続けてきた長い歩みは、ようやく一つのゴールに到達した。

今回、共同研究の相手である米製薬大手メルクの研究者とともにノーベル生理学・医学賞に輝いたが、共同研究者として支えてくれた大岩留意子(るいこ)博士と喜びを分かち合うことはできなかった。3年前にがんで亡くなったからだ。

大村さんは「彼女の頑張りがなかったら(家畜や熱帯病の治療に使える物質の)エバーメクチンを見つけることができなかったのではないか」と振り返る。16年前に亡くなった妻、文子さんの写真とともに大岩さんの写真も晴れ舞台に持っていくことにした。

梶田さんは今回の式典に3人を招こうとした。恩師で東京大特別栄誉教授の小柴昌俊さん、受賞対象になった実験を進めた素粒子ニュートリノの観測施設「スーパーカミオカンデ」を率いた故・戸塚洋二さんの妻の裕子さん、研究仲間で岩手県立大学長の鈴木厚人さんだ。しかし、都合でストックホルムに来ることはできなかったという。

授賞式は小柴研究室で1年後輩だった東京大教授の中畑雅行さんらが現地で見守る。ニュートリノ観測施設「カミオカンデ」や「スーパーカミオカンデ」の建設などでともに汗を流した仲間だ。

梶田さんはストックホルムでの記念講演で「ニュートリノの正体を探る物語はまだ終わっていない。我々研究者にはまだまだやるべきことがたくさん残っている」と今後の研究に意欲を示した。

大村さんも記者会見で「微生物研究は見方によっては始まったばかり。微生物から学ぶことはまだ多い。微生物から新しい薬を1つでも見つけたい」と抱負を語った。大村さんはストックホルムをたつ日に、アルフレッド・ノーベルの墓を訪れる予定という。

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