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iPSで神経再生に挑む 慶大、脊髄損傷治療で臨床へ

脊髄損傷や神経難病など、再生医療の「本命」と期待されていた病気の治療に向けて、iPS細胞を使った臨床研究が動き出す。これまで脳や脊髄の傷ついた神経細胞を再生させるのは難しかったが、iPS細胞がその可能性を開くと期待されている。

慶応義塾大学は2018年前半にも脊髄損傷に対する臨床研究を始める。岡野栄之教授と中村雅也教授らは10日、学内の倫理委員会に計画を申請した。岡野教授は「(iPS細胞ができる以前の)約20年前から基礎研究に取り組み、ようやく臨床の段階まで来た」と話す。

脊髄損傷は、交通事故やスポーツ事故などで背骨の中の神経が傷付き、体がまひする疾患。国内では毎年約5千人が発症するが、有効な治療法がない。計画ではiPS細胞を神経のもとになる細胞に育てて損傷した脊髄に移植し、手足などの機能回復を目指す。

京都大学はiPS細胞を用いて神経の難病のパーキンソン病を治療する臨床試験(治験)を18年度に開始する計画だ。京大iPS細胞研究所の高橋淳教授が先週明らかにした。

パーキンソン病は脳の神経細胞が減って神経伝達物質が不足し、手足が震えたり、うまく動かせなくなったりする難病。治験では神経のもととなる細胞を患者の脳に注射し、症状が改善するかどうかなどを見る。

損傷した脊髄や脳の細胞を再生させることはできない。iPS細胞の登場で代わりの神経細胞を作れる可能性が生まれる。患者支援団体「日本せきずい基金」の大浜真理事長は「多くの患者が待っている。安全な細胞を使いながら、早く進めてほしい」と話している。

iPS細胞の再生医療は、14年に目の難病患者に対する初の臨床研究が実施された。だが今回の臨床研究で移植する細胞は数百万個と格段に多く、手術手法も異なる。岡野教授は「一人ひとりの状態を見極め、研究を進めたい」と話している。

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