茨城の鬼怒川決壊、12人と連絡とれず 690人が救助待つ
台風18号などの影響で豪雨が続いた関東地方では10日、河川の氾濫などによる被害が広がった。茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊し、洪水が広範囲に及んだ。県によると、12人と連絡がとれないという。このほか多くの住民が住宅や商業施設に取り残され、警察や消防のヘリコプターが救助にあたった。

茨城や栃木では降り始めからの雨量が最大600ミリに達し、各地で川が増水。鬼怒川には高さ3~4メートルの堤防が整備されていたが、月間降水量の2倍以上の記録的な大雨に耐えられず幅約140メートルにわたって決壊した。

東北地方では11日も激しい雨の恐れがあり、仙台市は約20万6千人に避難勧告を出した。
安倍晋三首相は10日、首相官邸で関係閣僚会議を開き、「国民の命を守るため一刻の猶予もない。政府として取り得る限りの最大限の勢力を動員するように」と指示した。
国土交通省などによると、鬼怒川の堤防は10日午後0時50分ごろ決壊した。浸水面積は約32平方キロで、

地域には約6500棟の住宅がある。警察庁によると、なお約690人が商業施設に取り残されるなどして救助を待っている。
東京電力は鬼怒川発電所(栃木県日光市)など3つの水力発電所で発電機などの設備が水没した。電力需給に大きな影響はない見通し。
石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは、栃木県や茨城県など6県15カ所の給油所で浸水や停電被害を受け、うち11カ所が休業。コメリが栃木と茨城の両県の計3店舗、家電量販店のケーズホールディングスが茨城と栃木両県の計3店の営業を終日取りやめるなど、小売り各社にも影響が出た。
青果物では、北関東が主産地のコマツナやホウレンソウが品薄になるとの見方が出ているほか、コメも作柄が悪化するとの懸念が出ている。
気象庁によると、10日は台風18号から変わった低気圧に南から湿った暖気が流入し、関東から北日本にかけて断続的に非常に激しい雨となった。
警察庁によると、台風18号が接近した9日以降、栃木県鹿沼市で女性1人が行方不明になったほか、栃木や静岡など9県で21人が重軽傷を負った。
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