親族間犯罪、動機は「将来悲観」最多 警察庁調査
全国の警察が2014年に摘発した親族間の殺人・殺人未遂事件や傷害致死事件は計272件で、動機は「将来を悲観」が全体の3分の1で最も多かったことが10日、警察庁の調査で分かった。被害者は「父母」が3割を超えて最多だった。年間を通した詳細な分析は初めて。
同庁は同日、親族間を含めた犯罪被害者への給付金制度の見直しに向け、専門家を交えた有識者検討会の初会合を開催。原則一部しか認めていない親族間の事件での支給対象拡充や、重傷病者への支給対象期間の延長など4項目について検討する。夏ごろまでに提言をまとめる。
14年に摘発した親族間の殺人・殺人未遂事件や傷害致死事件のうち、被害者は「父母」が33%と最も多く、「配偶者」が27%、「子」が25%だった。
被害者と加害者の約8割が同居し、被害者が生存している場合は事件後も7割近くが同居を続けていた。
動機は介護疲れや金銭困窮などによる「将来を悲観」が最多の33%。痴情のもつれや金銭トラブルによる「不仲・トラブル」が25%、「加害者の心神喪失等」が21%と続いた。
全国の警察が16年に摘発した親族間の殺人事件(未遂も含む)は425件で、殺人事件全体(770件)の55%に上る。殺人事件全体が減少するなか、678件で同44%だった1979年と比べ、割合は上昇している。
夫婦や父母、子供などの親族間の事件は現在、ドメスティックバイオレンス(DV)や特段の事情を除いて犯罪被害者への給付金が原則不支給となっているが、見直しも含めて検討する。