新たな夢、亡き祖母に 福島・浪江で追悼式

2016/3/11 23:01
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東京電力福島第1原子力発電所の事故で、全町民の避難指示が続く福島県浪江町の追悼式が11日、二本松市内で行われた。津波で祖母の安斉正子さん(当時65)を亡くした高校1年の門馬芹香さん(16)=南相馬市=が遺族代表を務めた。

浪江町遺族代表で追悼の辞を述べた門馬芹香さん(11日午後、福島県二本松市)

浪江町遺族代表で追悼の辞を述べた門馬芹香さん(11日午後、福島県二本松市)

「いつも優しく明るいばばちゃんが大好きでした」。追悼式で芹香さんは正子さんとの思い出を振り返った。

田植えの時期。浪江町の家に着くと、正子さんは芹香さんをぎゅっと抱きしめてくれた。きびきびと田植えをする正子さんの姿を見て手伝おうとしたが、体が小さい芹香さんはいつも足をとられて動けず、正子さんに助け出された。

あの日、自宅にいた正子さんは津波に流された。芹香さんと両親は車で浪江町に向かったが、道路の冠水でたどり着けなかった。さらに第1原発の建屋で水素爆発が起き、内陸への避難を余儀なくされた。

身元不明の遺体がDNA鑑定で正子さんと確認されたのは約3カ月後。遺体は既に火葬されていた。「ばばちゃんを捜しに行けなかった」。そんな悔しさのせいか、芹香さんは正子さんの夢を見るようになった。2人で歩いていると急に津波に襲われる。「あっち行って」。見せたことのない冷たい表情の正子さんが芹香さんを突き飛ばす。そこで夢は終わる。

遺体と対面することができず「今も、ばばちゃんが亡くなったことを受け入れられない自分がいる」と話す。

浪江町の家の跡地は自宅の再建ができない災害危険区域に指定され、唯一残った土台も近く撤去される。その前に芹香さんは「気持ちに整理をつけ、浪江に行く」と決めている。

「身長20センチ伸びたよ。もう田植え手伝えるかな」「ばばちゃんに買ってもらった机で高校の勉強頑張ってるよ」「保育士になる夢ができたよ」――。浪江町で正子さんに報告したいことがいっぱいある。

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