公判前整理が長期化、最高裁が対策検討 裁判員裁判
裁判員裁判で公判開始前に争点や証拠を絞り込む「公判前整理手続き」が長期化する傾向にあり、最高裁は昨年秋、その要因を検証する作業に乗りだした。公判開始が遅れると、その間に証人らの記憶が薄れていくといった弊害を招く。2016年度中にも結果を取りまとめ、対策を講じたい考えだ。
最高裁によると、公判前整理手続きの平均期間は、裁判員制度開始の09年は2.8カ月だったが、翌10年は5.4カ月に延び、12年は7.0カ月になった。その後、2年連続でやや短縮したが、15年は10月末時点で7.3カ月となっており、再び増加に転じる見通し。
長期化は検察官や弁護人の書面提出に時間がかかったり、打ち合わせ期日の間隔が必要以上に空いていたりすることが要因として考えられる。
最高裁は具体的なケースを抽出、原因を詳しく分析し、短縮方法を検討する。複雑な事件なのに期間を短くできた成功例も調査する方針だ。
整理手続きが長引けば、被告や証人らの記憶が薄れる可能性が増す。手続きは非公開のため、被害者や遺族からは「一体いつまで何をしているのか」と、不満が出ることもあるという。
最高裁が12年にまとめた報告書によると、裁判員裁判対象事件の起訴から判決までの期間は、制度開始前の06~08年に平均6.6カ月だったのに対し、開始後の09年5月~12年5月は8.5カ月だった。裁判官だけの時代よりも審理自体が長期化し、被告の長期勾留につながっているとの批判も強まっている。
昨年10月末までの裁判員裁判8139件中、整理手続きが3年を超えたのは5件あり、最長は3年348日間だった。〔共同〕