西松建設の株主訴訟、異例条件で和解 政治資金公開団体に寄付
西松建設の巨額献金事件をめぐり、違法な献金をやめさせる義務を怠ったとして、株主が旧経営陣に損害賠償を求めた株主代表訴訟は9日、東京高裁(後藤博裁判長)で和解が成立した。旧経営陣9人が同社に和解金1億5千万円を支払うほか、同社が献金問題を反省するとして、政治資金収支報告書を公開する団体に1千万円を寄付する。
株主代表訴訟で会社が再発防止策を誓約するケースはあるが、今回のような寄付が和解条項に盛り込まれるのは異例。
株主の弁護団によると、今年6月に市民団体が設立した一般財団法人「政治資金センター」(大阪市北区)に西松建設が和解金から1千万円を寄付、運営資金に充ててもらう。同センターは国会議員の関連政治団体の政治資金収支報告書を11月ごろからホームページで公開する。
阪口徳雄弁護団長は「企業のコンプライアンスを図る上で価値のある和解だ」と評価した。
西松建設はダミーの政治団体を使って違法な政治献金を繰り返し、2009年には政治資金規正法違反罪で元社長の有罪が確定した。
今回の訴訟では14年9月、一審・東京地裁が「職務上の注意義務を果たさなかった」として旧経営陣6人に計約6億7千万円の支払いを命じ、双方が控訴していた。
西松建設は「和解を機に一層の法令順守の徹底を図り、信頼の回復と再発防止に努めていく」としている。