2019年2月20日(水)

蚊から感染症、デング熱以外にも 空港など対策に悩む

2014/9/10付
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デング熱の感染拡大は、海外で感染した人が国内で蚊に刺されてウイルスが拡散したことが原因とみられる。蚊を介する感染症は世界的に広がる傾向にあり、潜伏期間の長さが空港などでの水際対策を難しくしている。専門家は「今回のデング熱と同様の事態は他の感染症でも起こりうる。公園などで蚊に刺されないよう自衛してほしい」と話している。

デング熱は近年、東南アジアなどで感染した人が帰国してウイルスが持ち込まれる「輸入症例」が年200件ほど報告されてきた。「ここ数年増えており、今回のような国内感染が起きる可能性は以前から懸念されていた」(国立国際医療研究センター・国際感染症センターの竹下望医師)

厚生労働省によると、感染症法で発生報告義務の対象となる「4類感染症」のうち、蚊が媒介するのは約10。多くは国内で流行も発生もしていないが、デング熱と同様に国内感染のリスクを無視できないのが「チクングニア熱」だ。

チクングニア熱は、都市部を含め日本各地に広く生息するヒトスジシマカなどが媒介し、主な症状は急な発熱や関節痛。2011年以降、毎年10人程度の輸入症例が報告されており、今年3月にも南太平洋のトンガから帰国した三重県の20代男性の感染が確認された。

05年に米国から帰国した男性が感染した「西ナイル熱」もヒトスジシマカなどが媒介する。西ナイル熱の主な感染ルートは「鳥→蚊→ヒト」で、世界的に流行している感染症の一つという。

各地の検疫所は入国者にサーモグラフィーで体表温度を測ったり、医師の診断を勧めたりして水際対策を強化している。成田空港検疫所では13年に採血に応じた283人のうち、デング熱とチクングニア熱の陽性が計14例確認された。

ただ、同空港の入国者数は年間約1200万人。潜伏期間中に検疫を通過する感染者も多いとみられる。竹下医師は「日本人の旅行先が多様化し、訪日外国人も増えるなか、感染症が持ち込まれる可能性は高まっている」と指摘する。

海外の流行地域から帰国した後に体調不良で医療機関を受診したとしても、感染症への感染が疑われるケースは少ないという。例えば、デング熱は特徴的な症状がなく、風邪などと診断されることが多かったためだ。

8月末、最初にデング熱の国内感染が判明した埼玉県の10代女性を診察した医師は、デング熱感染者の診察経験があった。女性の様子などから診断キットで調べた結果、約70年ぶりの国内感染の発見につながった。ただ、国内で発症例がほとんどない感染症の専門医は少なく、発見は偶然の要素に左右されかねない。

長崎大熱帯医学研究所の森田公一所長は「多くの人が集まり、緑が多い公園などでは蚊に刺されないようにすることが大切。国内感染を早期発見できるよう医師の養成も必要だ」と話している。

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