自殺再発、6カ月間抑止 福祉専門職の支援が効果
自殺未遂で救急搬送された精神疾患患者を福祉専門職が定期的に支援した結果、自殺の再発を6カ月間抑止する効果があったとの研究結果を、横浜市立大などの研究チームが11日までにまとめた。北九州市で同日から13日まで開かれる日本自殺予防学会総会で報告する。
研究で支援対象としたのは、大学病院など17施設で2006~09年、自殺を図って救急搬送された成人患者914人のうち460人。
精神保健福祉士ら専門職が定期的に面談し、人間関係や経済面など個々の問題を解決するため援助組織への橋渡しをするなどしたところ、1カ月後、3カ月後、6カ月後までに再び自殺を図った割合は0.7%、1.6%、6.0%と推移。一方、支援対象とならなかった454人が再度自殺を図った割合は3.6%、7.3%、11.9%だった。
研究リーダーの平安良雄・横浜市立大教授(精神医学)は「自殺未遂の直後ほど再発リスクは高いが、福祉の専門職による支援が一定の抑止効果を持つことが裏付けられた」と分析した。
しかし、研究を続けて1年後は支援対象が10.8%だったのに対し対象外が15.0%、1年半後では14.5%に対し18.4%と再発割合の差は縮まった。平安教授は「適切な時期をみて、地域による手厚い支援に広げていくことが必要だ」としている。〔共同〕