中江兆民の直筆原稿発見 毛筆で114枚、清書に訂正の跡

2016/9/9 2:00
保存
共有
印刷
その他

明治時代にフランスの哲学者ルソーの思想を日本に紹介して自由民権思想を広め、「東洋のルソー」と呼ばれた思想家、中江兆民(1847~1901年)の代表作「三酔人経綸問答」の直筆原稿が見つかったことが8日、国文学研究資料館(東京都立川市)への取材で分かった。創作過程が分かる貴重な資料という。

高知市立自由民権記念館が10月8日から開く企画展で現物を展示するほか、国文学研究資料館も10月以降、ホームページ上で公開する予定。

1887年に刊行された三酔人経綸問答は、理想主義的な民主化を唱える「紳士君」と、武力による海外進出を主張する「豪傑君」、現実主義を代表する「南海先生」の3人が酒を酌み交わしながら日本の針路について議論するという設定。いずれも、民主主義の可能性を追求した兆民の分身と考えられ、現代に通じる論点を持つ。

原稿は114枚の和紙に毛筆で記され、二つ折りにして薄茶色の表紙を付け、2冊の冊子にとじてあった。半分以上は清書に訂正や変更が書き込まれ、南海先生が民権について語り、議論が盛り上がる後半部分は下書きのままだった。切り貼りして推敲(すいこう)を重ねた試行錯誤の跡が生々しく残る。

国文学研究資料館が文部科学省と取り組む、古典資料の大規模データベース化事業の一環で3月に東京都内の古書店から購入し、直筆と確認した。同館の谷川恵一教授(日本近代文学)は「兆民がこの著作をどのように書き進めたかが分かる。力の入れ方が伝わってくる資料だ」と話している。〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]