厚木基地訴訟、飛行差し止め認めず 最高裁判決「高い公共性」

2016/12/8 19:31
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米軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県)の周辺住民が国を訴えた第4次騒音訴訟の上告審判決が8日、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)であった。同小法廷は夜間・早朝の自衛隊機の飛行差し止めを命じた二審・東京高裁判決を破棄し、差し止め請求を棄却した。「自衛隊機の飛行には高い公共性と公益性がある」と判断した。将来の騒音被害に対する賠償請求も認めなかった。

厚木基地騒音訴訟で「不当判決」の紙を掲げる原告側の弁護士ら(8日午後、最高裁前)

厚木基地騒音訴訟で「不当判決」の紙を掲げる原告側の弁護士ら(8日午後、最高裁前)

同小法廷は判決理由で、騒音被害が軽視できないと認めたが、「自衛隊機の運航には内外の情勢などを踏まえた高度な政策的判断が必要で、防衛相の広い裁量に委ねられている」と指摘した。

また海上自衛隊が夜間早朝の離着陸を自主規制していることや、国が住宅や学校の防音工事に総額1兆円以上を支出してきた点を検討。「自衛隊機の飛行が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くとは認められない」と結論づけた。裁判官5人の全員一致。

基地周辺の住民約7千人が原告となった今回の訴訟では、一審・横浜地裁判決が夜間早朝(午後10時~午前6時)の自衛隊機の飛行差し止めを初めて認め、二審も「騒音被害は深刻」として差し止めを維持した。

二審判決は米空母艦載機が2017年ごろに岩国基地(山口県)に移転する計画を踏まえ、16年末を期限として将来分の損害賠償を国に命じたが、8日の最高裁判決は「損害が明確でない」などとして認めなかった。住民側は繰り返し訴訟を起こし、実際に受けた損害の賠償を受けるしかない。

過去分の賠償額約82億円はすでに国が支払っている。

騒音の主な原因となっている米軍機の飛行差し止めについては、一、二審が「防衛相に運航の権限がない」などとして却下。最高裁は審理の対象とせず、判決で住民の請求を退けた。

米軍機や自衛隊機の騒音被害をめぐっては、1975年に小松基地(石川県)の周辺住民が起こして以降、横田(東京)、嘉手納(沖縄)、岩国(山口)など全国6基地で集団訴訟が相次いでいる。いずれも過去分の損害賠償は認められているが、飛行差し止め命令が確定した判決はない。

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