東洋ゴム社長、月内にも「経営責任含め再発防止策」
免震データ改ざん問題で衆院参考人招致

東洋ゴム工業(大阪市)が免震装置に使うゴムの性能データを改ざんしていた問題で、衆院国土交通委員会は8日、同社の山本卓司社長らを参考人招致し、集中審議した。山本社長は再発防止策について、外部に依頼した調査結果を5月中旬にも受け取った後、「経営責任の明確化も含め1~2週間で取りまとめたい」と述べた。自身の進退についても検討する考えを示した。
同委員会は開発担当の社員が不正に関わった経緯や、性能不足の免震ゴムを製造・出荷し続けた社内の品質管理などについて追及。山本社長は「建物の所有者ら国民の皆様に大変な心配とご迷惑をおかけした。おわび申し上げる」と改めて陳謝し、「企業風土の体質まで踏み込み、会社を立て直すという意欲で取り組みたい」と述べた。
山本社長は性能不足の免震ゴムの交換費用や、居住者の一時退去にかかる経費などを補償する考えも表明。ケースごとに対応すると説明した。
弁護士による外部調査チームが4月に公表した中間報告では、同社社長(当時)らが昨年5月、データ改ざんの疑いについて報告を受けていたことが明らかになった。
同9月の社内会議で問題がある免震ゴムの出荷停止の方針を決めながら、直後に撤回して出荷を継続。山本社長は「(当時の)データを確認して適合すると判断した。(不正の)隠蔽とは考えていない」と釈明した。
同社は今年3月に全国の55棟で国の性能基準を満たさない免震ゴムが使われたと公表。その後、性能不足やデータ欠損のため性能が判定できない免震ゴムが99棟で使われていたことが新たに判明した。国土交通省の調査では、震度7程度の地震で倒壊の恐れがある物件は現時点では見つかっていない。
中間報告によると、改ざんに関わった社員は「製造部からの納期の催促にプレッシャーを感じていた」という趣旨の話をしたという。
同社を巡っては、2007年にも断熱パネルで耐火性能の偽装が発覚し、当時の社長が引責辞任。その際、免震ゴムも含めた品質の緊急点検を実施したが、山本社長はこの日の委員会で「踏み込んだ確認はしておらず、今回の問題を発見することができなかった。反省している」と話した。
同委員会には参考人として、東洋ゴム問題の原因究明や国の認定制度の見直しを検討する有識者委員会の副委員長、北村春幸東京理科大教授らも出席した。