アクリルアミド低減を 食品安全委 調理で発生、発がん性指摘
野菜やイモの加熱中に発生し、発がん性が指摘されている化学物質「アクリルアミド」の健康影響を評価した食品安全委員会の作業部会は8日までに、「できる限り低減に努める必要がある」との見解をまとめた。日本人の摂取量は、動物実験で発がん性が確認された量の約千分の1だったが、作業部会は「懸念がないとはいえない」と慎重な姿勢を示した。
作業部会の評価によると、日本人が1日に食品から摂取する平均量は推計で体重1キロ当たり0.24マイクログラム(マイクロは100万分の1)。欧州の0.4~1.9マイクログラムと比べると少なかった。
日本人は摂取量の56%がフライドポテトやいためた野菜から。次いでコーヒーなどの飲料で17%、ポテトスナックなどの菓子類が16%、パンなどの穀類が5%だった。
アクリルアミドについて農林水産省は家庭での対策をまとめており、加熱の目安として焦げ色に注意するよう助言している。フライドポテトやトーストで実験したところ、きつね色が濃くなるにつれアクリルアミドが増えていた。煮る、蒸す、ゆでるといった水分が多い調理法では発生しにくい。
食品安全委の高崎洋介・評価技術企画推進室長は「過度に気にして栄養不足になるのはよくない。調理の際に焦がしすぎないようにするなど気を付けて、なるべく摂取量を減らすようにしてほしい」と話している。
アクリルアミドを巡っては、2002年にスウェーデンのチームが加工食品などに存在することを報告し、大きな注目を集めた。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同専門家会議は05年、食品中の濃度を減らす努力を続けるよう報告。食品安全委員会は11年、国内の健康影響調査を始めた。〔共同〕