2019年5月25日(土)

震災と革命乗り越えた絆 石巻・チュニジア交流20年超

2016/6/8 12:26
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東日本大震災で大きな被害が出た三陸沿岸の宮城県石巻市には北アフリカの小国にちなんだ「チュニジア通り」がある。20年以上にわたる文化交流の証しで、きっかけはチュニジア人留学生のたった1泊のホームステイ。石巻市は震災、チュニジアは独裁政権の崩壊という国の危機を乗り越え、絆を強めている。

1992年9月、チュニジアから東北大に留学中の青年が後に桃生町(2005年4月に石巻市と合併)の町長となる故平塚義兼氏の自宅に宿泊したのが始まりだった。

2人は意気投合し、手紙をやりとりしたが青年の兄が大使館関係者だったため交流は徐々に拡大。桃生町の職員や住民がチュニジアに行き政府機関や学校を表敬訪問し、チュニジア側はモザイク画やオリーブの木など多くの名産品を贈った。

町は1997年、駐日チュニジア大使の来訪を記念して整備中だった町道を「チュニジア通り」と命名。ベンアリ大統領(当時)からは命名に謝意を示す手紙も届いた。2001年にはチュニジアを代表する花にちなみ「ジャスミン通り」も完成した。

友好が深まる中、チュニジアでは11年1月、「アラブの春」の先駆けとなるジャスミン革命が起き、ベンアリ独裁政権が崩壊。石巻市は同年3月、東日本大震災の津波で甚大な被害に遭った。同じ年、ともに大きな試練に直面した。

だが両者の絆が断ち切られることはなかった。石巻市を津波が襲って間もない11年4月にはチュニジア大使館の外交官らが石巻市を訪れ、伝統料理の炊き出しを行った。「向こうも政権崩壊したばかりで大変な時なのに、いち早く来てもらい、ありがたかった」。石巻市国際交流協会の今野一事務局長(56)は迅速な支援を振り返り、感謝する。

一方、協会は今年5月、チュニジア「国民対話カルテット」のノーベル平和賞受賞を祝うイベントを石巻市内で開催。出席したカイス・ダラジ駐日チュニジア大使は「お互い大きな困難に遭ったが、それが共感を呼び団結が生まれている。今後も親交を深めていきたい」と力を込めた。〔共同〕

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