2019年1月16日(水)

阿蘇ブランドの牛乳、地震・断水乗り越え生産再開

2016/5/7 21:30
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熊本県内で相次ぐ地震で被災した阿蘇市の「阿部牧場」がブランド牛乳の生産を再開している。断水で製造停止を余儀なくされたが、知人が持つ水源にパイプをつなぎ、水を確保した。阿部寛樹社長(39)は「まだ大変な状況が続くが、阿蘇でこれからも牛乳を造り続けたい」と話している。

操業が再開し牛乳の瓶詰め作業をする阿部牧場の社員(5日、熊本県阿蘇市)

操業が再開し牛乳の瓶詰め作業をする阿部牧場の社員(5日、熊本県阿蘇市)

今月5日朝、阿蘇山麓の田園地帯にある阿部牧場で、従業員約10人が搾乳した牛乳を容器に詰める作業を始めた。

同牧場は牛に与えるエサや瓶のデザインにこだわったブランド牛乳「ASOMILK」(アソミルク)を製造。製造量は地震前の半分程度だが、県内外の取引先に出荷できた。阿部社長は「様々な人に支えられている。おいしい牛乳を早く全国に届けたい」と語る。

地震で約350頭を飼育する牛舎に大きな被害はなかったが、自社工場が断水し冷蔵庫などの設備も損壊し、操業を停止せざるを得なくなった。

問題は水だった。1日15トンが必要とされる牛の飲み水や、搾乳の機械を洗う水を確保できなくなった。牛が乳房炎を起こすため毎日搾乳したが、2日間で生乳13トンを廃棄した。

水道は4月29日から少しずつ復旧。工場は5月2日に仮稼働を始めたが、突然断水したり水量が少なかったりした状態が続いた。このため、牧場から1キロほど離れた場所に湧き水の水源を持つ知人の農家に協力してもらい、パイプで牧場との間をつなぎ、ようやく牛乳製造を再開できる体制が整った。

牧場の事務所には4月16日の本震以降、全国から「大変な状況だけど頑張って」といった励ましや注文の電話が多く寄せられている。阿部社長は「自然のおかげで温泉や湧き水があり、良質の牛乳をつくることができる。阿蘇の恩恵を受けながらこれからも頑張っていきたい」と話す。

熊本県畜産課によると、2014年度の年間生乳生産量は24万7千トンと全国3位。特に阿蘇地方は冷涼な気候と湧き水が牧草の育成に適しているため酪農家が集中している。同課の担当者は「地震前の出荷量に戻るまでには時間がかかる」とみている。

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