2019年9月23日(月)

勤務医の高額年俸「残業代含まず」 最高裁判決

2017/7/7 21:59
保存
共有
印刷
その他

勤務医の高額年俸に残業代が含まれるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は7日、「残業代に当たる部分を他の賃金と判別できず、残業代を年俸に含んで支払ったとはいえない」と判断した。好待遇などを理由に「年俸に含まれる」とした一、二審判決を破棄した。

最高裁の判例は、労働基準法の規定に沿って時間外賃金が支払われたことをはっきりさせるため、「時間外の割増賃金は他の賃金と明確に判別できなければならない」としている。第2小法廷は高額な年俸の場合も例外とせず、これまでの判例を厳格にあてはめた。

訴えを起こした40代の男性医師は2012年4~9月、神奈川県の私立病院に勤務。1700万円の年俸契約で、午後5時半~午後9時に残業をしても時間外の割増賃金を上乗せしない規定だった。医師側はこの間の時間外労働約320時間の一部が未払いだと主張していた。

第2小法廷は「雇用契約では時間外賃金を1700万円の年俸に含むとの合意があった」と認めたが、「どの部分が時間外賃金に当たるかが明らかになっておらず、時間外賃金が支払われたとはいえない」と判断。未払い分の額を算定するため、審理を東京高裁に差し戻した。

労働基準法は、長時間労働を抑えるため、法定労働時間(1日8時間)を超える残業に通常の1.25倍以上の賃金を支払うよう義務付けている。

一審・横浜地裁判決は「医師は労働時間規制の枠を超えた活動が求められ、時間数に応じた賃金は本来なじまない」と指摘。好待遇であることから「時間外賃金は年俸に含まれている」として病院側の主張を認めた。二審・東京高裁も一審の判断を支持し、医師側が上告していた。

医師側代理人の新井隆弁護士は「企業が給与体系を見直すきっかけになる」、病院側代理人の最所義一弁護士は「労働法規の厳格な適用が現実に合致していない側面があるにもかかわらず、最高裁は形式的判断をした」とのコメントを出した。

男性医師は12年9月に勤務態度を理由に解雇され、解雇無効や未払い賃金の支払いなどを求めて提訴した。7日の判決で、解雇を有効とした一、二審の判断は確定した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。