2019年2月22日(金)

尖閣・竹島、中学社会の全教科書に 政府意向濃く
震災の記述も増える

2015/4/7付
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文部科学省は6日、来春から全国の中学校で使う教科書の検定結果を公表した。尖閣諸島(沖縄県)と竹島(島根県)を「固有の領土」として教科書で扱うよう求めた国の指針を受け、初めて社会科の全教科書(20点)に尖閣と竹島が記述された。東日本大震災に関する記述も増えた。

領土問題に関する記述が盛り込まれた社会科の教科書

領土教育を重視する政府は昨年1月、教科書検定基準と学習指導要領の解説書を改め、政府方針や見解などを教科書づくりに反映させるよう各教科書会社に求めた。今回はすべての教科書会社がこれに沿った形となり、「(北方領土を含め)領土に関する記述量は倍増した」(文科省)。

菅義偉官房長官は6日の記者会見で「我が国の領土について、子供たちに正しく理解されるように記述されるのは重要なことだ」と述べた。

地理、歴史、公民のうち、特に増えたのは歴史で、10年度の前回検定で尖閣と竹島を記述した教科書は7点中1点だったが、今回は8点全てが記述した。初めて歴史で竹島を扱った教科書会社は特設ページをつくり「韓国による不法占拠が続いています」と記した。

検定基準に追加された「政府の統一的な見解に基づいた記述をする」などの条項も初めて適用された。関東大震災時の朝鮮人の死亡者数や極東国際軍事裁判(東京裁判)などで、修正意見が5点6カ所についた。

今回の検定に対する専門家の評価は分かれている。中京大の古川浩司教授(国際関係論)は「日本の子供は領土のことを学ぶ機会が少なく、問題意識を持ちにくかった。グローバル化で海外と対等に渡り合うためにも義務教育で取り上げた点は評価できる」と話す。

これに対し、高千穂大の五野井郁夫准教授(国際政治学)は「日本の立場だけでなく、国際社会の認識もバランス良く記載すべきだ」と指摘。「政府の意向が強く反映されすぎれば、教育の多様性も失われかねない」と懸念している。

今回は「ゆとり教育」を見直した現行の学習指導要領下で2回目の検定となる。教科別平均ページ数の合計は前回から6.5%増えた。学習量そのものは変わらないが、写真やグラフを増やし、児童・生徒が理解しやすいような工夫が進んだ。

中学の教科書としては東日本大震災以降初の検定で、震災や防災関連の記述も増えた。震災に関する記述は全体の55%にあたる58点が取り上げ、東京電力福島第1原子力発電所事故を巡る記述も31点でみられた。

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