森友学園の報告「詐欺的」 大阪知事、建築費巡り
学校法人「森友学園」(大阪市)が大阪府豊中市の国有地を評価額より大幅に安く取得し、現地で小学校の4月開校を目指している問題で、大阪府の松井一郎知事は6日、3月中の小学校設置の認可を先送りする意向を表明した。学園側が提出した学校の運営計画で複数の疑義が明らかになり、松井知事は「教育者の資質に疑問符がつく」と不信感をあらわにした。
学園側は2月に開かれた府私立学校審議会(私学審)に、学校運営の健全性を示すための資料を提出。小学校校舎の建築費は7億5600万円とされていた。一方、学園側が国土交通省に対し、木材を大量に使った建築物への補助金を申請した資料では、建築費を21億8千万円と見積もり、6194万円の補助金受給が決まった。
松井知事は6日午後、国と府に対する異なった報告を確認し「詐欺的なことになる」と批判した。
一方、森友学園は同日、資料の疑義について府にメールで回答。府私学課によると、「国には建築費の最大の見込み額を提出した」と説明。実際の建築費は府に示した7億5600万円だとし「最終的な工事額に応じ、国に補助金を返還する約束になっている」と主張しているという。
ほかにも学園側は児童確保策として「愛知県の中高一貫校と、卒業生の推薦入学枠を設けることで合意した」と報告。しかし、一貫校側は府に対し「事実無根。森友学園と接触した事実もない」と真っ向から否定したという。
森友学園側も合意が事実でないことを認めた。資料作りを依頼したコンサルトタント会社が「誤って合意したと記載した」と説明した。
小学校用地に廃棄物の混じった土砂が搬出されずに残っている問題でも、学園側は6日、府に15日までに搬出する計画書を提出した。ただ、計画書に具体的な搬出先や処理業者名などの記載がなかったといい、府担当者は「本当に計画通りに終えられるのか、確認の必要がある」としている。