2018年10月19日(金)

防潮堤、沿岸6県で完成10%どまり 「避難計画まだ」半数弱

2016/4/6 23:22
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東日本大震災で甚大な津波被害を受けた岩手、宮城、福島など沿岸6県の防潮堤の完成率が昨年3月末時点で10.1%にとどまったことが6日、会計検査院の調べで分かった。住民との合意に時間を要する地域もあり、県別の着手率や完成率にもばらつきがあった。調査では、津波避難計画や津波ハザードマップを作っていない自治体があることも判明した。

検査院は防潮堤の新設や復旧事業を進めている青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の沿岸6県33市町を対象に調べた。

防潮堤の整備計画がある28市町の512事業(9398億円)のうち、昨年3月末時点で完成していたのは52事業(10.1%)。事業費ベースの進捗率は15.1%だった。工期が長い事業が多いことが主な要因だが、着手していない事業も52あった。

計画した事業のうち、完成率が最も高かったのは青森県で9事業中の6事業(66.6%)。岩手は73事業のうち2事業(2.7%)、宮城は333事業のうち35事業(10.5%)、福島は61事業のうち8事業(13.1%)にとどまり、津波による被害が大きかった3県は完成率が低かった。

また茨城は30事業中1事業(3.3%)、千葉は6事業中の一つも完成しておらず、進捗状況のばらつきが目立った。

防潮堤は景観などの面で住民が反発する地域も多い。用地買収などの課題もあり、合意に時間を要し、着工できない状況が続く。完成率が2.7%だった岩手県河川課は「沿岸部は津波の被害が大きく、防潮堤の高さの見直しや住民との合意形成にも時間がかかった。資材や人手不足も影響した」と説明している。

調査ではソフト面での津波対策の課題も判明。沿岸6県33市町のうち、昨年3月末時点で「津波避難計画」を作っていたのは19市町(57.5%)。残る14市町は作っていなかった。津波避難計画は緊急避難場所や初動体制、避難訓練の実施内容などをまとめたもので、津波対策推進法は努力義務として自治体に策定を求めているが、検査院は「街づくりが途上のため、計画をつくれる段階にないとする自治体が多い」と分析している。

津波による浸水域や避難場所などをまとめた「津波ハザードマップ」を作っていない自治体も7市町あった。

21市町では、津波情報の収集や伝達を目的に購入した防災ラジオや無線通信機器など計4万3219台のうち、昨年9月時点で2万6316台が住民に配布されていなかった。

宮城県石巻市では昨年7月までに防災行政無線が受信できる防災ラジオ3万台を一括購入したが、配布を希望する住民が少なく、昨年10月末時点で配布したのは約3割にとどまっていた。

検査院は「事業の成果が十分に出ていない事業が見受けられた。国は技術的な助言も含め、必要な支援を行う必要がある」としている。

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