事故当日に全員死亡か 富山小型機墜落、外傷・出血ひどく
富山県の北アルプス山中に小型機が墜落し搭乗の4人全員が死亡した事故で、県警は5日、4人の遺体を司法解剖した結果、死因はいずれも墜落の衝撃による外傷性ショックや出血性ショックと公表した。遺体の状況から全員3日に死亡したとみられるが、詳細な推定時刻は「捜査に支障が出る」として明らかにしなかった。
県警によると、機体発見時に前部左側の席にいた小口英児さん(48)=長野県岡谷市=は脳挫傷で、前部右側の席にいた機長の木下孝雄さん(57)=同県松本市=が外傷性ショックだった。2人は頭部に大きな損傷があった。
後部にいた河西勝基さん(21)=同県下諏訪町=と樋口和樹さん(22)=同県富士見町=はいずれも多発性外傷による出血性ショックで、胸部や腹部を負傷していた。2人には低体温症の痕跡もあった。
小型機は新中央航空(茨城県龍ケ崎市)所有のセスナ172Pで、小口さんの訓練飛行のため、3日午後2時23分に富山空港を離陸。長野県の松本空港に向かう途中で墜落した。木下さんが依頼を受け教官役として同乗していた。
河西さんは約30分後の午後2時50分ごろに新中央航空松本運航所などに救助を求める電話をかけていた。午後3時15分の同運航所にかけた電話を最後に連絡が取れなくなった。
一方、墜落現場は獅子岳南東の標高2300メートル付近の斜面。現在も多くの積雪があり、天候も急変しやすいため、実況見分や機体回収のめどは立っていない。このため県警は、4日の救助活動の際に山岳警備隊員らが撮影した機体や現場の写真をもとに状況を調べるなど捜査を本格化させた。
県警ヘリで5日午前に墜落現場を確認した運輸安全委員会の日野和男航空事故調査官は、事故原因は現時点で不明とし「いろいろな情報を集めている段階だ」と述べた。〔共同〕