中日本高速が控訴せず 笹子トンネル訴訟、判決確定
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2012年12月に起きた中央自動車道笹子トンネル(山梨県)の天井板崩落事故で、トンネルを管理する中日本高速道路(名古屋市)と点検業務を担当した子会社に4億4千万円余りの賠償を命じた昨年12月の一審・横浜地裁判決に対して、中日本高速道路は5日、両社とも控訴しないと明らかにした。
遺族側も控訴しないとしており、点検に過失があったと認定した判決が確定。原告となった遺族は「この判決が判例になり再発防止のきっかけになる」と語った。
中日本高速道路は「事故以前における点検維持管理体制への指摘を真摯に受け止め、遺族の気持ちにあらためてしっかり向き合わなければならないと考えた」とのコメントを公表した。
昨年12月22日の横浜地裁判決は、天井板のつり金具を固定するトンネル最頂部のアンカーボルトが経年劣化で天井板の重さを支えられなくなり、脱落したのが事故原因だったと指摘。「12年9月の点検で、双眼鏡による目視だけという方法を採用した過失があった」と判断していた。
同社は「目視で異常があった時に打音検査をすれば十分」と主張したが、判決は「目視以外の検査をし、事故後の緊急点検で見つかった不具合を発見していれば崩落の可能性は予測できた」として退けていた。
事故は12年12月2日、笹子トンネルの天井板が崩落し、9人が死亡。うち5人の遺族12人が計約9億1300万円の損害賠償を求め提訴した。
これとは別に、同じ遺族は負傷者とともに中日本高速の当時の社長らに賠償を求めた訴訟も起こしている。山梨県警は業務上過失致死傷容疑で捜査を続けている。〔共同〕
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