ナマコ密漁、組織化進む 漁業者「規制の強化を」

2017/5/10 11:41
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高級食材として中国などに高値で輸出されるナマコを狙った密漁が各地で横行している。最近は「見張り役」も置く大規模な密漁団が目立ってきた。現行犯で取り押さえる必要のある現行法令では摘発が難しく、漁業関係者は「摘発しやすいように規制の強化を」と訴える。水産庁も自治体と連携するなどして警戒を強め、密漁の抑止に努めている。

ナマコは高級食材として高値で輸出される

「なんとかならないか」。北海道の寿都(すっつ)町漁業協同組合の長尾隆之・管理部長は頭を抱える。

長尾さんによると、道南西の渡島半島付け根にある同町の沿岸に、不審な集団が頻繁に現れるようになったのは4~5年前。一部が陸上で見張り、残りはドライスーツ(内部に水が浸入しない保護スーツ)や酸素ボンベを身につけてゴムボートに乗り、潜水してナマコを捕る。メンバーは年々増え、数十人規模の時もある。

小樽海上保安部は昨夏、同町沿岸で無許可で捕ったナマコを所持した道海面漁業調整規則違反の疑いで、20~40代の男10人を逮捕した。だが大型密漁の摘発は道内で2014~16年で計9件のみ。密漁を現行犯で取り押さえる必要があり、摘発は簡単ではない。

ナマコは同漁協にとって大切な水産資源だ。道産ナマコは02年に1キロ約700円だったが、中国の需要が拡大し、14年は同約3900円と高騰した。「密漁の被害は年数億円単位だろう」(長尾さん)

抑止力を高めようと、漁協に所属する漁師らが連日のように車に乗って沿岸部をパトロールしている。怪しい集団がいれば暗視スコープで監視し、サーチライトで照らして警告するが、切りがないのが実情。長尾さんは「夜間の潜水を許可制にすれば摘発は容易になる」など規制強化を訴える。

ナマコの密漁は全国に広がっている。瀬戸内海では小型船による密漁が広範囲で行われており、深夜に無灯、高速で航行している。高性能レーダーを備えており、山口などの各県や水産庁の取り締まり船が近づくと瞬時に逃走するという。

同庁と各県は陸にいる職員と取り締まり船の職員がそれぞれ密漁船を監視。出港の動きや航行ルートなどに関する情報を共有し、連携して追尾するなど摘発につなげる努力を続けている。

水産庁は「通報しても即摘発は困難だが、けん制効果はある」とし、各地の漁業者らに引き続き協力を求めている。

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