2019年6月25日(火)

ガラス工房をモロッコに 日本の職人、サハラ砂使用

2017/5/8 11:15
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太陽光を浴び、緑色に輝くガラス製の鳥形オブジェ。アフリカのサハラ砂漠で採れた真っ赤な砂が原料だ。仙台・秋保温泉のガラス職人、村山耕二さん(49)が手掛けた。砂の原産地モロッコに制作拠点を設け、技を現地の観光振興に生かそうと奔走している。

秋保温泉の工房内に丸みを帯びたワイングラスや、オイルキャンドルなどのガラス製品がずらりと並ぶ。砂漠のほか、工房近くにある河原や工事現場の砂から作った。「アリ塚の砂を使うこともありますよ」と村山さんが笑う。

砂にこだわるのは2001年にモロッコを旅したのがきっかけだ。サハラ砂漠で植林に取り組むNPO法人の活動に同行。温暖化により砂漠が拡大し、住宅地を侵食している状況を目の当たりにした。「芸術家は環境問題に対し何ができるのか」。スタッフにそう問われ、答えられなかった。

帰国後、持ち帰った約5キロの砂を工房のかまどで溶かし、ガラスにした。完成品はオアシスを思わせる緑色に。「大地の記憶を閉じ込めたようだ」と感じ、心が震えた。

ガラス作りは、砂から不純物を取り除いて加熱処理したケイ砂を用い、人工的に着色するのが一般的だ。村山さんは2年ほどかけ、天然の砂をそのまま使用し、自然な発色を生かす技術を確立。04年にサハラガラスを発表し、モロッコ国王に作品を献上したこともある。

同国では砂漠周辺から人口が流出し、地方の過疎が深刻化している。村山さんは砂漠地域にガラス工房を建て、住民に製法を伝えることで新たな観光資源にしようと計画。場所の選定を進め、3年後の実現を目指す。

「砂漠から生まれたものを地元に返せば、何世代にも受け継がれる文化として残せる」。村山さんがたどり着いた、あの日の問いへの回答だ。〔共同〕

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