被災ヨーグルト工場休止 岩手・岩泉町、豪雨で浸水
台風10号の豪雨で、岩手県岩泉町で作られている人気の「岩泉ヨーグルト」が製造休止に追い込まれている。被災した岩泉乳業の山下欽也社長(59)は「全国から応援の声が届いている。必ず再起し、もう一度作りたい」と力を込める。
玄関に流木が突き刺さり、周辺には泥が積もっていた。「悔しいですね。でも、ここまでひどいと逆に覚悟が決まる」。3日、山下社長が本社工場を見てつぶやいた。
8月30日の豪雨で、本社工場を含め3つの工場が浸水。製造済みのヨーグルトや原料の生乳が水に漬かり、約800万円もの損失が出た。機械も使えなくなった。従業員3人は工場に取り残されたが、2階に避難し無事だった。
岩泉乳業は2006年に操業開始。当初は牛乳の製造が主だったが、売り上げが伸びず経営が悪化し、09年からヨーグルトを主力製品に変えた。
地元産の生乳を2日間かけて低温発酵させ、水や添加物を入れずに作るヨーグルトは、もちもちとした食感と濃厚な味わいが口コミで人気に。通信販売を中心に全国展開し、昨年度は約13億円を売り上げた。
一方、被災以来、同社のフェイスブックやメールには1日100件ほどの応援メッセージが届いている。「お客さんに育ててもらった会社。ここで諦めるわけにはいかない」。町内に新しい事務所を構え、再スタートを切る。〔共同〕