出火原因は「伝導過熱」 築地火災、木製壁が劣化か
東京都中央区築地の築地場外市場の店舗が焼けた火災で、警視庁築地署は4日、全焼したラーメン店が火元だったと断定した。出火原因はガスコンロの熱が木製の壁に伝わったことによる「伝導過熱」だったとみられる。従業員が火災発生の約1時間前まで店内でコンロを使って仕込み作業をしていたといい、同署は経緯を調べている。
同署によると、火元のラーメン店「井上」は木造2階建てで、1階に厨房や飲食スペースがある。
火災のあった3日、同店は平常通り午後1時半に閉店。従業員3人がスープの仕込みのため、午後3時50分ごろまで火を使って調理していた。木製の壁に火が燃え移らないようステンレス製の板が張られていたが、ステンレス越しに壁に熱が伝わり、木製の壁から出火したという。
同店は築70年以上で、外国人観光客に人気の老舗。同署は長年の過熱により木製の壁が劣化したことで発火した可能性があるとみている。
従業員3人は仕込みが終わった午後4時ごろに元栓を閉めて退店した。3人は同署の聞き取りに「焦げ臭さは感じなかった」などと説明している。一方、同店と隣接し、全焼した調理器具販売店の店員は「午後3時半ごろに焦げた臭いがした」と話しているという。
東京消防庁によると、火災は3日午後4時50分ごろ発生。木造の店舗計7棟、約935平方メートルが全焼した。火は約15時間後の4日午前8時10分ごろに鎮火した。
総務省消防庁によると、伝導過熱による火災は全国で年間約250件発生している。