2019年2月16日(土)

店長自殺で賠償命令 長時間労働とパワハラ認定
5790万円 東京地裁判決

2014/11/5付
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飲食店チェーンの店長だった男性(当時24)が自殺したのは、長時間労働とパワーハラスメント(パワハラ)が原因として、両親が経営会社と上司らに約7300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は4日、計約5790万円の支払いを命じた。山田明裁判長は上司と社長の個人責任も認め、「ほかに自殺の原因は認められない」として、男性本人には過失がないとした。

今月1日には、過労死防止などを「国の責務」とした過労死防止法が施行されたばかりで、長時間労働に対する社会の風当たりは強まっている。男性側の代理人弁護士は判決後の記者会見で「長時間労働やパワハラに苦しむ人々に勇気を与える判決だ」と評価した。

判決によると、男性は2007年に経営会社「サン・チャレンジ」(東京)に入社。飲食店チェーン「ステーキのくいしんぼ」の渋谷センター街店の店長だった10年11月、遺書を残して店舗が入るビルの非常階段で自殺した。

自殺前の7カ月間の残業時間は月平均190時間を超え、総労働時間は月平均560時間に達していた。渋谷労働基準監督署は12年、自殺を労災と認定した。

山田裁判長は判決理由で、男性は遅くとも自殺の約2年9カ月前から恒常的に1日12時間以上働き、休日もほとんどなかったと認定。ミスのたびに上司から頭をなぐられるといった暴行を受けるなど「社会通念上相当と認められる限度を明らかに超える暴言や嫌がらせ、プライベートへの干渉などがあった」と指摘し、自殺との因果関係を認めた。

その上で、同社では正社員店長の長時間労働が一般化しており「業績向上を目指すあまり、適切な労務管理体制を取っていなかった」と批判。社長について「長時間労働や行き過ぎた指導監督の事実を容易に認識できたのに対策を取らなかった」として、個人的責任も認めた。

会社側は「金銭問題や家族との確執などが自殺の原因だ」と主張したが、判決はいずれも「証拠がない」と退けた。同種訴訟では原告側の過失を理由に損害額を減額する過失相殺が認められるケースもあるが、判決は「長時間労働とパワハラのほかに自殺の原因は見当たらない」として過失相殺を認めなかった。

サン・チャレンジ側は「判決の詳細を把握していないのでコメントできない」としている。

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