2019年4月26日(金)

原発避難解除1年、農業担い手の帰還進まず 福島・楢葉

2016/9/5 11:58
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東京電力福島第1原子力発電所事故で福島県楢葉町のほぼ全域に出ていた避難指示が解除されて5日で1年がたつ。基幹産業である農業は事故の影響で担い手が不足。町は、花など原発事故の風評の影響を受けにくい作物の栽培を進めることで、農業復活を目指し、若手を町に呼び込みたい考えだ。

町内では、今年2月に県立診療所が設立されるなど3つの病院が開院し、生活インフラの整備が進む。だが、8月4日現在、町に帰還したのは641人で、解除時の人口を基にした帰還率は8.7%。その約半数が65歳以上の高齢者だ。

「農業じゃ食っていけないからって、近所の農家がどんどんやめていくんだ」。避難先の同県いわき市の仮設住宅と楢葉町の自宅を往復する塩井淑樹さん(65)は寂しそうに話す。コメ農家だった塩井さんは事故後、県産のコメの価格が下落したことを受け、風評の影響を受けにくい花卉(かき)農家に転身。昨年からトルコギキョウを栽培し、出荷している。

しかし、塩井さんのように新しい作物を作り始めたり、コメ作りを再開したりする人はごくわずかだ。

町によると、原発事故前の2010年、町内のコメの作付面積は約410ヘクタールで、約440軒あった農家のほとんどがコメ作りをしていた。しかし、今年コメを作付けしたのは14軒で作付面積は20ヘクタール程度にとどまる。花卉栽培を始めた農家も数軒だ。

原発事故の風評で農業経営がなかなか成り立たないことに加え、避難指示の解除まで4年半かかり、農家のやる気がなくなっているという。「解除されたって風評被害がなくなるわけじゃない。このままでは、楢葉の農業は駄目になっちまう」と、塩井さんは心配している。

松本幸英町長は、高く売れる作物を作ることが農業再生に必要だと強調。「農業を魅力的なものにできれば、若い世代が楢葉に戻ってきてくれると信じている」と話した。〔共同〕

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