川崎のヘイトデモ巡り勧告 法務省、主催者に
法務省は3日までに、1月に川崎市で在日韓国人女性に対してヘイトスピーチと呼ばれる言動をしたとして、デモを主催した男性に同様の行為をしないよう、1日付で勧告したと発表した。ヘイトスピーチを巡る法務省の勧告は2回目。
ヘイトスピーチを巡っては、国や自治体に相談体制の整備や、教育、啓発活動の充実を求める対策法が今年の通常国会で成立し、6月に施行された。法務省によると、今回の勧告は対策法に基づく措置ではないが、「不当な差別的言動のない社会を実現する機運が高まっていることが背景にある」と説明している。
法務省によると、主催者は1月、川崎市の公園や路上で「じわじわ真綿で首絞めてやっからよ」などと怒号し、女性の人格権を侵害した。
勧告に強制力はないが、ヘイトスピーチに詳しい師岡康子弁護士は「勧告には『差別』という言葉が盛り込まれ、対策法の表現も引用された。意義は大きい」と話した。
川崎市では2013年ごろからこの主催者らによるヘイトスピーチが問題化。対策法施行後の今年6月5日にもデモを企画し、川崎市は公園の使用を不許可とした。主催者らは別の場所でデモをしようとしたが、当日は市民らの反対に遭い中止となった。
法務省は昨年12月にも、東京都小平市の朝鮮大学校前でヘイトスピーチをしたとして、在日特権を許さない市民の会(在特会)の元代表に対し同様の勧告をした。〔共同〕