復興予算利用の電子書籍、1700冊配信できず 検査院調べ
東日本大震災の復興予算で経済産業省が電子化した書籍のうち、少なくとも約1700冊が著作権者の許諾を得られないなどを理由に配信できない状況になっていたことが2日、会計検査院の調べで分かった。検査院は対策を講じ、電子書籍の流通を促すよう経産省に要望した。
調査対象は経産省のコンテンツ緊急電子化事業で、東北の情報発信、電子書籍の市場拡大などが目的。一般社団法人「日本出版インフラセンター」に約9億9千万円の補助金を支出し、全国の出版社から申請のあった書籍の電子化を東北の業者などに委託した。
検査院によると、同センターは2012年度に出版社約340社の約6万5千冊の書籍を電子化した。しかし、出版社による書籍の配信は補助事業対象ではなく、同センターは配信状況を把握していなかった。
検査院が同センターに調査を要請した結果、回答した出版社約40社の電子書籍約1万8500冊のうち、約2400冊が未配信だったことが判明。一部は配信可能だったが、1687冊は(1)著作権者の許諾が得られていない(2)電子機器で表示するための技術的修正が完了していないため、配信できない状況だった。
約300社は未回答で、予算で電子化した書籍の7割にあたる約4万6400冊分の配信状況が確認できないという。
経産省文化情報関連産業課は「同センターに配信が進むよう対応を要請した」としている。
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