脳腫瘍の新型薬治験 国立がんセンターなど
国立がん研究センターなどは2日までに、有効な治療法がなくなった悪性脳腫瘍に対する新しい抗がん剤の臨床試験(治験)を始めたと発表した。腫瘍細胞にだけ現れる酵素の働きを抑えて治療する薬で、従来の抗がん剤より効果が高く、副作用が少ないと期待される。まず20人以上の患者で安全性を確かめ、大規模な治験に移る。3年後の実用化を目指す。
治験は第一三共と実施する。国立がんセンター中央病院など5施設が参加する。
神経膠腫(グリオーマ)と呼ぶ脳腫瘍の一種で、IDH1という遺伝子に変異がある患者が対象になる。この遺伝子の変異は悪性神経膠腫の患者の7割以上に見つかるという。治験では、IDH1遺伝子の変異によってできる酵素の働きを抑えて腫瘍細胞だけを殺す分子標的薬と呼ぶ薬の安全性と効果を確かめる。
神経膠腫は脳にしみ込むように広がるため正常な組織との見分けがつきにくい。手術で全部を摘出することは困難とされる。
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