ネット被害者に重い負担 発信者特定には裁判必要

2016/4/1 12:43
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 インターネット上で中傷や成り済ましの被害に遭う人が後を絶たない。書き込んだ相手の特定のためには掲示板や会員制交流サイト(SNS)の運営会社にプロバイダー(接続業者)の開示を求め裁判所に仮処分を申請し、その上でプロバイダーに発信者の開示を求め提訴するなどの手続きが必要となる。費用も時間もかかり、被害者は重い負担を強いられている。

 「娘が将来、この投稿を見たらどう思うだろう」。新潟市の大嶋陽さん(38)は昨年7月、「安全保障関連法案に反対するデモで孫が熱中症になり死んだ」とする虚偽のツイッター投稿に、長女(2)の写真を無断使用された。

 ツイッター社側にプロバイダーの開示を求める仮処分を東京地裁に申請後、相手を特定しようとプロバイダーを提訴した。「なぜこんなことをしたのか動機を知りたい」

 都内の自営業の50代女性は「2ちゃんねる」で2年以上続いた誹謗(ひぼう)中傷の発信者を今年1月、特定した。東京地裁の命令で開示された住民票に記載されていたのは、同業者の男性3人。「尊厳を守るためにはこうするしかなかった」

 女性は、自身の著書が盗作とする事実無根の内容や「クソ婆」などの悪口雑言を繰り返された。今後、発信者を名誉毀損容疑で刑事告訴し、損害賠償を求める訴訟も検討する。

 2人は「なぜ裁判までやらないと開示されないのか。被害者の負担が大きすぎる」と声をそろえる。大嶋さんは「ネットはうまく使えば有効なツール。安心して利用できるルールを確立してほしい」と話す。

 司法関係者によると、仮処分でプロバイダーが判明してもプロバイダーには発信者保護との兼ね合いがあり、この段階で発信者情報が開示される例はまれ。ログと呼ばれる記録が消えるなどして相手を特定できないこともある。通常、相手の特定に至るまで半年以上かかり、費用は数十万円を超すという。

 共同通信の調査では、プロバイダーの提訴は昨年以降、全国で80件以上に上った。同種の訴訟を数多く手掛ける清水陽平弁護士は「裁判所に代わる第三者機関が、速やかに開示の是非を判断するような仕組みを検討すべきだ」と指摘する。〔共同〕

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