小池氏「都議会と協力」 都政改革へ新組織
東京都知事選の投開票から一夜明けた1日午前、初当選を果たした元防衛相、小池百合子氏(64)が都内で記者会見を開いた。都議会最大会派の自民党と対立する形で出馬。待機児童の解消や東京五輪・パラリンピックの関連予算の見直しなどの公約を実現するためには同党との関係修復が不可欠となる。同氏は会見で「都民の利益のため協力を求めたい」と述べた。

小池氏は「都政の透明化や情報公開、お金の問題を検証する組織を立ち上げる」と表明。設置時期や陣容などは明言しなかったが「東京大改革を掲げている以上、『まな板の上のコイ』が包丁を握ることはない」として、外部の専門家らを登用する考えを示唆した。
小池氏は「一票一票の重み、重責を痛感している」と当選から一夜明けた心境を吐露。17年ぶりの保守分裂選挙となり対立を深めた都議会の自民、公明両党には「都民の利益のため一致点、接点を見いだすよう協力を求めたい」と述べた。
リオデジャネイロ五輪には「閉会式に知事の公務として出席する。ビジネスクラスでとんぼ返りになる」として出席する意向を示した。
都議会は9月28日に次の定例会が開催される予定で、都知事が予算案や条例案を成立させるには、都議会の承認が不可欠。最大会派の自民党(56人)と公明党(23人)で過半数を押さえるなか、今後、両党との関係修復を図れるかが、円滑な都政運営のポイントになる。

小池氏は選挙戦で都議会を「ブラックボックス」と呼び、有力議員を「都議会のドン」と称するなど、対決姿勢を鮮明にしてきた。一方、自民、公明党は元総務相、増田寛也氏(64)を推薦し、組織を挙げて全面支援してきた経緯がある。
小池氏が公約で掲げた「待機児童ゼロ」や「住宅耐震化の促進」などを今後実現するためには、都議会との協調が必要となる。ある自民都議は「いきなり対決することはない。まずは小池氏の話を聞いた上で、出方を検討していく」と慎重姿勢を示した。
政府・自民党内でも都政と連携する必要性を重視し、関係悪化を懸念する声が出ている。安倍晋三首相に近い同党の下村博文総裁特別補佐は1日午前のテレビ朝日番組で「小池新知事には是々非々で、協力できるところは積極的にすべきだ」と指摘した。菅義偉官房長官は記者会見で「政府として国民のために連携は必要だが、選挙が終わったばかりなのでこれからだ」と語った。
都知事選前には小池氏の処分をめぐり、首相周辺から「除名する」との見方が出ていた。ただ、下村氏は「自民党の党紀委員会で議論する。除名なのか、離党させるのか、いろいろなやり方がある」と述べるにとどめた。
一方で同党推薦の増田氏の敗北を受け、都連執行部の責任論が浮上。都選出の衆院議員からは「執行部全員の退陣が望ましいだろう」との声が上がる。2020年の東京五輪・パラリンピックの成功に向け、政権と小池氏の連携は欠かせず、双方が間合いを慎重に見極める見通しだ。