2019年4月24日(水)

空前の低金利、歪む市場 金融機関は逆ざやに

2014/12/26 2:00
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長期金利が史上最低の0.310%まで低下した。大規模緩和を推し進める日銀が大量に国債購入しているほか、原油市況の悪化で投機マネーが国債市場に流入していることが要因だ。住宅ローンや企業の貸出金利も下がっているが、融資は伸びておらず、金融機関の利ざや低下や金利が急反転するリスクなど市場の歪(ゆが)みを懸念する声も多い。

長期金利は新発10年物国債利回りが指標となる。国債の買い手が増えれば債券の価格が上昇し、金利は低下する。長期金利は企業融資や住宅ローンとも連動しており、みずほ銀行は企業向け融資の指標の一つである長期プライムレート(最優遇金利)を過去最低の1.10%に下げた。住宅金融支援機構の長期固定型の住宅ローン「フラット35」も、12月の適用金利は1.56%と過去最低だ。

長期金利は1%を下回る水準が続いてきたが、足元で一段と下がったのは(1)日銀の追加金融緩和(2)原油市場からのマネー逃避(3)金融機関の年越し資金の置き換え需要――が要因だ。長期金利は「今後0.2%台へ向けて低下余地を探る」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジスト)との見方が増えている。

10月末に追加緩和に踏み切った日銀は長期国債を月8兆~12兆円も買い入れ、計算上は市場に出回る新発国債をすべて買い取るほどの購入力がある。民間金融機関は残った国債を高い価格で買い取る必要があり、国債利回りはさらに低下する。

原油価格の急落でマネーが国債市場に逃避していることも金利低下要因だ。また、銀行は年越し資金を国債に換えて保管しており債券買いが膨らんでいる。金融機関は損失覚悟で国債を買い入れるほどで、25日に財務省が実施した2年物国債の入札では初めて金利がマイナスとなった。

大規模緩和は金利を押し下げて融資を増やし、消費や投資を伸ばす狙いがある。ただ3メガ銀の9月末時点の国内融資残高は合計172兆円と3月末より1%減った。住宅や企業への貸し出し金利は既に十分低く「さらに下がったところで追加的な借り入れ需要は生まれにくい」(みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミスト)ためだ。

「実体経済に見合わない水準まで力ずくで金利を押し下げると弊害もある」(ソシエテジェネラル証券の島本幸治東京支店長)。三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行は金利低下によって、融資や国債などの運用利回りと経費など資金調達原価の差を示す「総資金利ざや」がマイナスになる「逆ざや」となった。

市場の歪みは先行きの金利の反転上昇を招きやすい。銀行は集めた預金を元手に国債を購入するが、家計貯蓄率がマイナスに転じて先行きは国債の買い手不足も懸念される。大規模緩和の終了が近づけば金利急騰のリスクもある。民間金融機関は大量の国債を抱えており、金利が1%上昇すると銀行や信用金庫の含み損は7兆6千億円にも達するとの試算もある。

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