著作権の保護、欧米並みに延長 政府がTPP合意で見直し案

2016/2/24 21:52
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政府は24日、環太平洋経済連携協定(TPP)合意を踏まえた国内の著作権制度の見直し案を固めた。保護期間の延長や権利侵害に対する新たな損害賠償制度の導入などが柱になる。欧米並みの水準の制度を目指す一方、乱訴防止や「パロディー」など二次創作活動への配慮も盛り込んだ。

同日の文化庁の著作権分科会で了承した。見直しのポイントは(1)音楽・書籍の著作権の保護期間を現行の著者の死後50年から70年に延長する(2)権利侵害があった場合の民事訴訟で損害額の立証ができなくても、最低限の賠償金を請求できる「法定賠償」制度の採用(3)著作権者の告訴がなくても警察が海賊版を取り締まれる「非親告罪」の導入――の3点だ。

保護期間延長はTPP協定文の「70年以上とする」をそのまま反映する。欧米では既に70年が一般的で、国際水準に合わせることになった。

政府が慎重だったのが、法定賠償制度と非親告罪の導入だ。訴訟乱発や行き過ぎた取り締まりにつながれば創作活動が萎縮し、日本独自の文化が失われるとの懸念があったからだ。

例えば著作権侵害の際の賠償制度の場合、米国では法定賠償金として750ドル以上、3万ドル未満を定める。さらに懲罰的な措置として「追加的賠償」があり、ケースによっては数億円の賠償金を支払わせることもある。TPPでは「法定賠償」か「追加的賠償」のいずれかの導入を参加国に求めていたが、日本は法定賠償を選択した。

近年の著作権侵害はネット上に広がるケースが増え、被害額の算定の難しさなどから権利者が泣き寝入りすることも多いためだ。裁判で仮に被害額を立証できなくても、損害が認められれば一定の賠償金を支払わせることになる。

制度設計の過程では法定賠償金の算定方法が争点となった。今回の取りまとめでは「著作権管理事業者が定めた使用料の規定」を目安にすることにした。金額は明示しない。音楽の場合、利用料に準じる賠償額は、利用期間にもよるが実質的に1件あたり数百円から数万円、文芸作品では数千円から数十万円と米国と比べても低くなる見通しだ。

著作権問題に詳しい福井健策弁護士は「米国のような乱訴が起こりにくい日本の法の伝統を守った」と評価する一方、「深刻な泣き寝入り事案を救済するための方策もさらに検討する必要がある」と指摘する。

非親告罪でも悪質な海賊版を対策に絞り込む工夫をした。アニメのパロディーなど二次創作活動は日本固有の「オタク文化」の源泉でもあるため、非親告罪への反発は国内で根強い。対策案では元の権利者の収益に影響を与えない二次創作や、漫画の一部を複製する行為などは除外することを決めた。

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